たーぼーん

ありがとう、トニ・エルドマンのたーぼーんのレビュー・感想・評価

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中盤までかなり居心地の悪さが続く。
観客は、父と娘双方の決して相容れないはずの生き方を尊重してあげ、ダブルスタンダード対応で見守り続けなければならない。この事が、この作品を観るうえでの苦痛であり、一方で徐々に喜びともなってくる部分である。
娘にも親父の方にも、急に相手のポリシーに引き寄せられ取り込まれる危険性が常にある。
終盤になっても、それほど大きな物語展開がある訳ではないが、人生の隅々まで思い至ってみて得る事が出来た果実の様な豊かさがこの作品にはあり、はっきり言って傑作という他ないのである。