風の旅人

パーソナル・ショッパーの風の旅人のレビュー・感想・評価

パーソナル・ショッパー(2016年製作の映画)
5.0
モウリーン(クリステン・スチュワート)は霊媒師で、数ヶ月前に死んだ双子の兄ルイスからのサインを待っていた。
しかしその洋館に現れたのは、知らない女の幽霊だった。
彼女は霊媒師とは別に「パーソナル・ショッパー」の仕事をしており、多忙なキーラ(ノラ・フォン・ヴァルトシュッテッテン)の代わりに服やアクセサリーを買いつけている。
しかしそれを試着することは禁じられていた。
ある日モウリーンの携帯に謎の人物からのメッセージが届く。
そのやり取りの中で、モウリーンは別人になりたいという隠れた欲望を刺激される。

霊媒師とパーソナル・ショッパーという対極的な役割をこなすモウリーンは、精神世界(あの世)と物質世界(この世)に引き裂かれている。
この映画で起こる出来事はいかようにも解釈可能で、オカルト的な解釈もできるし、物理的な解釈も可能だ(意図的にそういう撮り方をしてある)。
そしてそれはスクリーンのこちら側(現実世界)の可能性でもある。
人間の願望が世界をそのように見せているのだ。
この映画の宣伝と実際の内容が乖離していたように。
一方で神秘主義に傾倒したクリントの抽象絵画とユーゴーの降霊術を語りながら、もう一方で痴情のもつれによる殺人事件が起きる脚本が面白かった。
怪奇映画の傑作。
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