SouAzami

わたしは、ダニエル・ブレイクのSouAzamiのレビュー・感想・評価

3.6
社会体制に対して激しく憤りを感じる作品。

優しさを押し付けるようなヒューマン映画ではなく、社会派映画としての位置づけが強い。

働きたくても働けない。デジタル社会の現在でパソコンが使えない高齢者に対する役所の態度。とてもシステマチックで優しさの欠如した悲しい職場。
それぞれが生きることに必死なのは変わりないが、保身に走ることで差別が生まれる民主主義の矛盾の現実がこの作品を通して自覚することができる。

主人公はドクターストップと無収入の板挟みを受け何もすることができない中、似たような境遇の親子に無償の善意を傾ける。
ただそれはとてもさりげないもので、特別扱いをするものではなく、気づけば優しさに触れていたということを自覚するようなもの。
隣人に対しても叱言ばかり投げかけているようでもそこには愛がある。

とても地味で重たく感じるテーマだけど、必要なメッセージ性に引き込まれる作品だ。
SouAzami

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