みんと

セールスマンのみんとのレビュー・感想・評価

セールスマン(2016年製作の映画)
4.0
あ~~~・・・
人の感情のなんとも複雑な事か…
どうする事が正解だったんだろうか…

濃密な心理サスペンスにして切実な社会派ドラマでもある今作品。
イラン社会に燻っている様々な問題や世情を作品を通して少なからず知る事になった。

冒頭の引越しシーンからして日本では有り得ない状況に先ずは大きく驚かされ、また「セールスマンの死」と言う舞台劇と現実が絶妙にリンクして進んでゆく見事な構成も相まって徐々に『イラン』と言う国に惹き込まれていった。

出来事自体は何処でも誰にでも起こり得る云わば事故のようなもの。そしてそれをきっかけに少しずつ歪んでゆく夫婦関係は決して他人事とは思えない怖さを含んでいた。

ラストに向かうに連れ夫婦は勿論、犯人や犯人の家族それぞれの感情が激しく揺さぶられもはや収拾不能。
まさかのラストの虚しさには気持ちの持って行き場を失ってしまった。

イラン映画、また同監督作品は「別離」に次ぐ二作目になるけれど、その独特の雰囲気、後味の悪さ、モヤモヤ感は共通し、ジリジリと観ている側にダメージを与える鑑賞後の疲労感もまた同じ。

さりとて嫌いじゃない…
みんと

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