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セールスマンの教授のレビュー・感想・評価

セールスマン(2016年製作の映画)
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んー…面白かったけど、一方で浅さも見えてしまう作品。
隠喩的な表現はほぼほぼ、まったくなくて。戯曲「セールスマンの死」になぞられた夫婦の価値観の違いとも言えるし、断絶とも言えるし、何かに邁進することへの虚しさとも言えるし、ただ、それのどれでもない「だからなんなの?」という気持ちも付き纏ってくる。

結構ハードな展開や描写の思い切りの良さなどは端々に見え、ものすごくエッジの効いたストーリーテリングだなぁと感心するところもありつつ、物語の展開や個々のシーンの連なりなどはあまり広がりがなく緩かったりもしていて、迷ってしまう。

所謂、物語におけるリアリティバランスが不均衡なのでそれが、独特のリズムや雰囲気を醸し出している。
なぜか、事件の凄惨さや、そこからの「どう生きるか」という困難さや、犯人探しにもそれなりにドキドキやハラハラがある。
意図的な部分でラストの後味はしっかりと悪い、というところは良いところなのだが。
先に述べたように、それがつまり何を語りたい物語なのかがわかるようでわからない、わかってしまうとそんなに深くない、という気持ちになってしまう。

…ただ僕がなにひとつ理解をしていない、という気も一方でしてしまう。理解不能な作品。
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