イチロヲ

ヤコペッティの大残酷のイチロヲのレビュー・感想・評価

ヤコペッティの大残酷(1974年製作の映画)
4.0
男爵の美しい娘と恋仲になったことが原因で、領地を追放された純朴な青年が、時空を超えながら娘の捜索を続けていく。ヴォルテール著「キャンディード」をリライトしている、劇映画スタイルのファンタジー・コメディ。

頭の中がお花畑になっている青年が、世に蔓延る「善きこと・悪いこと」を自分の心眼で見定めながら、人生の意味を説いていくという内容。エログロとシュールレアリスムに寄せており、サイケなアートワークが印象に残る。

中世と現代が入り乱れた、パラレルワールドが舞台背景。終始ミュージカル調に飛び跳ねる主人公と甲冑にエレキギターという出で立ちで登場するロックスターに大笑いさせられる。惜しむらくは、セックスしまくりの姫が、乳房を露出してくれないところ。

台詞芝居による禅問答が多く、辟易させられるきらいがあるけれど、映像のパワーに圧倒されるため結果オーライ。「如何にして甲斐のある人生を送るか」という、取って付けたようなテーマ性も脳裏に焼き付く。
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