ノラネコの呑んで観るシネマ

マリアンヌのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

マリアンヌ(2016年製作の映画)
3.8
第二次大戦を舞台にした、スパイ映画仕立てのラブストーリー。
ロバート・ゼメキスは相変わらず上手くて、美男美女の切ない運命を端正に描く。
ただ、本題に入るのが後半からで、前半とテーマ的に分断されている。
カサブランカでの二人の出会いと暗殺作戦を描く前半は、今ひとつ作品世界に入り難いんだよな。
要因は、男目線の映画なのにブラピのキャラクターがぶっきらぼう過ぎて内面が見えず、感情移入を拒むから。
もう少し弱い部分、例えば戦争で負った心の傷などが見えた方が良かった。
またキャラ造形が深く無いので、想像した通りに行動し、物語も予測通りに展開してしまい意外性に欠ける。
違う話になっちゃうけど、これ始めからブラピよりずっと深い葛藤を抱えているはずの、マリアンヌの視点で物語を展開させた方が面白かったのではないか。
演出力はピカイチで、娯楽映画としては間違いなくアベレージ以上の仕上がりだし、悲恋の二人の美しさは目の保養になるが、ゼメキス作品にはもう一歩の突き抜けを期待しちゃう。