風の旅人

マリアンヌの風の旅人のレビュー・感想・評価

マリアンヌ(2016年製作の映画)
4.5
人は多かれ少なかれ自己を演じて生きている。
他人にどう見られるか、それを意識しない人はいないだろう。
しかし「ありのままの自分」と「演技としての自分」を明確に区別することができるだろうか。
そして俳優やスパイは、演じることを常態とする。

本作でマリアンヌ(マリオン・コティヤール)とマックス(ブラッド・ピット)は、スパイとして擬似夫婦を演じる。
しかし偽りの愛はいつしか本物の愛へと変わっていく。
砂嵐に囲まれながら車の中で愛に耽るシーンは、今作のハイライトの一つで、このとき二人はマリアンヌでもマックスでもない無名の存在として一体化する。

マリアンヌの本名は最後まで明かされない。
しかし二人の真実の愛を見た者にとって、もはやそれは重要ではない。
風の旅人

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