誰かしらの不在、何かしらの喪失を抱えながら都市に息づく人々の営みに迫る…みたいな感じ。自分を強姦した相手と婚約する女性、結婚間近の同性の恋人と密通を交わす男性、家を出た恋人を取り戻したいからと虎を飼おうとする男性、結婚初夜に相手に9歳の息子がいる事を知らされその後の人生を童貞で過ごして来た車上生活者の爺さん、若年期・青年期・壮年期・老年期を四季に当て嵌め描いているが、あんまり面白くない。音楽がモリコーネじゃなかったら尚の事厳しい。

アゴスティ作品の中でも、なにか散漫な印象を受けた。この監督は映画学校を主席で卒業とのことで、インディペンデント系の監督の中でも高い撮影技術に根ざした作りだなと思わされるが、それにしても語り口が異様すぎる。4作品観て、全て奇怪な作品であったのにも関わらず、そこに明確な作家性を見出すことが困難だったのは、逆説的にそれが彼の凄さの証明なのだろうか。

美しい構図に、モリコーネのベストスコアとも言われる音楽。イタリアの風景って、詩的な表現にぴったりなんだろうな…そりゃみんな絵描くし映画も撮るわ

ときどき会話に出てくる電気屋が良い「澄んだ空にアンテナを立てれば、いつか聞こえると信じてるの。星たちの音楽を」