てるる

ヒップスターのてるるのレビュー・感想・評価

ヒップスター(2012年製作の映画)
3.7
「ショート・ターム」の監督デビュー作。

アルバムを一枚リリースして人気上昇中のシンガーソングライターのブルック。
母が亡くなり、家族と距離を置く彼は、東日本大震災の映像を観て心を痛め、音楽にも無気力になってしまう。そんな彼の再生の一週間。

この監督が持つ独特の雰囲気と色合いはこの頃から感じられる。
オープニングの自転車で疾走するシーンがオシャレ。
劇中に多くは語られないけど、父親との確執もあるようで、天才肌ゆえの偏屈さも相まって序盤はだいぶクズ。

それでもどこまでも優しい3人の妹や、お人好しな親友のおかげで少しづつ嫌な自分からの脱却を図る姿はホロリとさせられる。
でも一番泣けたのは、震災で行方不明になったエミという女性のエピソードを語るシーン。当時打撃を受けた岩手との関わりが深かったり、原発事故関連の仕事に少なからず関わったので尚更切なくなる。
監督自身、あの震災に何かしらの想いがあり、アメリカ人ならではの視点で作品に盛り込んでくれたことにも日本人として凄く胸にくるものがあった。

クズ人間が再生するストーリーが好きだし、映像も綺麗で、天真爛漫だけど家族想い兄想いの3姉妹に癒やされる。
何より映画を彩る音楽が良くて、サントラ欲しくなったくらい。
物凄くボロ泣きしたい時ではなく、じんわり感動したい時にオススメ。
てるる

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