メランクさん

ブンミおじさんの森のメランクさんのレビュー・感想・評価

ブンミおじさんの森(2010年製作の映画)
4.0
アピチャッポンは「世紀の光」を観て以来2作目で、
眠くなる感じなんだろうと予想はしてて、
しかも冒頭が牛からだったんで、
もう完全に油断しきってただけにギョッとしましたよね。

とりあえずあの赤目に「なに?」ってなって、
それからいきなりぼんやりと浮かんでくる奥さん。
そして階段上がってくる猿って展開は、
だいぶ怖かったです。

静かに死を迎える話って割には
透析シーンがリアルだったりするし、
背景にどんよりと漂う戦争の影は、
必ずしも過去のものでない辺りが恐ろしい。

突如として挿入されてくる、
王女の悲しみとなまずによる姦淫は
いったい何を思えばいいのだろうという感じだったけれど、
なんとも心を揺すられた。

あーこれで死んじゃって終わりかと思ったら、
お坊さんの体験する不思議な乖離。
これまたなんなんだなんだけれど、
食堂で鳴り出す当地のロックバンドなんかな?が演奏する曲が
相変わらずニュース番組を眺めてる親子をなめて
エンドロールに突入してく感じも
またなんとも心地よかった。

へんてこな作品だったけれど、
嫌いではなかったです。