ナガノヤスユ記

LOGAN ローガンのナガノヤスユ記のレビュー・感想・評価

LOGAN ローガン(2017年製作の映画)
4.3
シリアス・リアリズム寄りのアメコミ映画としては、昨今のDC系、ノーランのバットマンやザック・スナイダーのスーパーマンが思い浮かぶけど、今しかない時機の捉え方と時代意識でそれらとはまた一線を画すと思う。むしろ、近頃のアメリカンインディー作品(ex. マイク・ミルズやジェフ・ニコルズ) に通底するような、地方の家庭生活やアメリカ史に対する内省的な眼差しを感じた。そういう時代感覚を、十数年に渡って続いてきたX-Menの物語にも半ば託し、メタ的に連動させることで、トランプ政権という反動保守、反ダイバーシティな体制が猛威を振るう今だからこその批評性をかなりの高水準で備えた作品だと思う。その同時代性が極めて鋭敏であるがために、反面、あまりにも刹那的、正直カルト的な持続性や数十年後の映画史に残って省みられるような運命とは縁がないかもしれないけど、単なるブロックバスターとして忘れられるにはひと際惜しい作品。