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映画よ、さようならのesのネタバレレビュー・内容・結末

映画よ、さようなら(2010年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

芸術に触れるという事は、贅沢品でも娯楽でもなく、生きるために重要な行為だと思う。「不要不急なもの」として十分な補償も与えられず文化活動が軽視されている現状を見ると、やるせ無さがより伝わってくる。

黒澤監督の『生きる』のパッケージの中にフィルム庫の鍵が入っているのが象徴的。

ラジオの中で語られる話と法律家の卵達の前で語る話が印象深かった。

25年勤めてきた職を失い、自殺でもするのではないかと思わせる描写を重ねてヒヤヒヤさせながら、彼にはまだ「映画」という生き甲斐が残っていると思わせるラストが良い。

印象的な邦題だけれど、内容には合わない気がする。原題は" La vida útil "直訳すると「有用な人生」。映写機のような映画館の設備に対しての耐久年数的な意味合いも含まれているだろうし、ただ損益だけで回る世界に対する皮肉や幸福度的な考えが含まれていると思えるタイトル。これを上手く生かせる邦題であれば良かったと思う
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