DM。25-9。イタリア版字幕なし。キャサリン・スパークとマストロヤンニの見事な不条理劇。これはイタリア映画大回顧展(2002年)で公開されたみたい。その時は見ていないのだけど、マストロヤンニ自身にとっても印象的な経験だったらしい。本人が楽しかったのだろうね。
なにしろ風船がどこまで膨らむか、という問いに取り憑かれた男の話。キャラメル工場の経営者マリオ(マストロヤンニ)は、景品に提案された風船に取り憑かれちゃうのよね。せっかく可愛い婚約者のジョヴァンナ(スパーク)が訪ねてきてくれるのだけど、風船が気になってしかたがない。
あげくせっかくの土曜日の夜に彼女を残して、エンジニアのところに答えを求めて押しかけ、ふと見かけた風船を持った女性の後を追いかけけて、風船でいっぱいのクラブに入ったりするのだけれど、このクラブのシーンだけがカラー撮影というのが面白い。赤・青・黄色の風船が浮かぶカラフルなクラブとロックと女たちのらんちき騒ぎの果てに、風船を破りまくるというアナーキーぶり。
そこを追い出されたマリオは、ジョヴァンナの待つ自宅に帰る。仲直りできたかと思った次の瞬間には、また風船が気になってしまい、彼女を追い出すと、答えのない問いを求めるかのように、窓から虚空へと飛び出して落ちる。悲劇かとおもいきや、ウーゴ・トニャッツィが自分の車の上に落ちることはないだろと叫んでいて、その後ろには、マリオが最初に入った骨董店のオーナーがお客を招き入れている。ただ若い女性の店員が現場から顔を背けるのだけれど、彼女は冒頭でマリオにお尻を触られた娘。
いやはや、これがマストロヤンニとフェレーリの最初の作品。楽しそうなんだよね。ひとつひとつのシーンが印象に残る。日本の着物を着たシーンとか、日本人の女性のマッサージ、さようなら、という挨拶。なんなんだろな。このころなにか日本趣味があったのかもね。それともアメリカ映画を真似したのかもしれなけれど、1965年あたりだから、その前年に東京オリンピックがあったしね。
イタリア版はここで全編鑑賞可。
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