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忍びの国のrosechocolatのレビュー・感想・評価

忍びの国(2017年製作の映画)
3.9
天正伊賀の乱をベースにしているが、冒頭部分はその前段階の三瀬の変も描いている。ここの歴史的知識があってもいいが、全くなくても物語は呑み込めている。しかし脈絡なく部分部分に現れる説明は、史実を掘らないとわからないかもしれない。例えばお国がいきなり安芸国出身ということで面喰うが、無門は北畠が毛利を頼って行った安芸にも同行したのだろうか?と考えるのが自然である。それにしても伊賀に(それも貧窮の無門の所に)さらわれてこられたお国があまりにも堂々としているのは結構不自然でもあったけど。

エンタメ要素も要求される作品なので、タッチは基本コミカル。忍者たちの戦法等を期待して鑑賞したが、そういった説明や史実通りの残虐性は排除されている。唯一軸になっている風習としては「川」であるが、「はみ出したら斬られる」部分が甘いような気もする・・・。

お偉方が勝手に始める戦争に否応なしに駆り出される側としては、銭金もらわんことにはやってられんというのが今も昔も正直な所なのだろう。戦法の部分をエンタメに持って行くために生み出されたのが無門であり、彼の不死身さもそれに一役買っている。お偉方の密約に翻弄されても決してそこに屈することなく、あくまでも人間臭く生きることをファンタジックにまとめている。

TOHOシネマズ フリパ3本目
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