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ガザの美容室のクリームのレビュー・感想・評価

ガザの美容室(2015年製作の映画)
3.9
ガザ地区にある美容室。紛争地区であっても人々の生活は続いていて女性達は自由に会話し、おしゃれを楽しもうとしている。外の喧騒や銃声に慣れているのか、さほど驚かない。だけど、彼女達の会話の端々に生活が見えて来る。終盤は、流石の彼女達にも緊張が走ります。女性目線でガザの現状を伝える興味深い作品。良作です。8年前の作品なので現在の状況とは違っていると思います。

ロシアからの移民クリスティンが経営する美容室。そこには、マフィアの彼氏との問題を抱えたアシスタントのウィダト。各々の事情を抱えた客達が集っていた。



ネタバレ↓



ウィダトは恋人アハマドと別れたくても別れられず、付き纏われ、彼はライオンを連れて美容室の前に居座り嫌がらせをする。アハマドは、素行が悪くハマスから狙われていた。
客のサフィアは、戦争で負傷した夫から得た薬を常用する中毒者で、無神経に喋り続けるが、彼女は夫からDVを受けていた。
亭主の浮気が原因で離婚調停中のエフィティカールは、セクシーな弁護士と会う為に支度中。
結婚式の支度をしに来たサルマと母親。母は喘息持ちで何度もエルサレムの病院へ行く為の通行許可を申請したが、イスラエルに拒否されていた。それを聞いたサフィアが、検問所の手前にファタハが検問所を作り、腹を立てたハマスがさらにその手前に検問所を作り、パレスチナからの人々は検問所を苦労して通過した後、最後には捕まるという嫌な話を聞かせます。
臨月の妊婦ファティマは出産前にカットしたくて妹とやって来た。
電気の供給が不安定で、国境が封鎖されている為ガソリンも届かない。イスラエルのドローンがTVの電波を遮断する。そんな中、ファティマの陣痛が始まってしまう。と同時に凄い銃声が鳴り響き、爆撃音までして、流石の彼女達も恐怖に怯え始めます。シャッターを叩く音が聞こえ、外には血だらけのアハメドがおり、ウィダトは中に入れた。皆でかくまうも、押し入ったハマス軍に連れ去られます。戦いが止み、美容室の扉を開けると一面に火の海が広がっていた。アハマドとライオンが瀕死の状態でトラックの荷台に。 映画はそこで終わります。

外では、ずっと喧騒や銃声が聞こえていて、緊迫した感じなのだが、彼女達は気にしていない。戦いが激しくなってようやく騒ぎ始めます。日常茶飯事で慣れているのが怖かったです。ラストのハマス突入は、本当に怖かった。又、美容室での検問所の会話等からもガザ地区に生活する女性達は、紛争の影響を受け続けているのが解りました。それでもその生活を続けざるを得なくて、受け流すしかない。恐らく生まれた時からずっと…。同じ女性として憤りを感じました。

※のんchan、本作も良い作品でした。ありがとう♡
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