にゃんこむ

思いやりのススメのにゃんこむのレビュー・感想・評価

思いやりのススメ(2016年製作の映画)
4.3
障害を持つ少年と、介護士の男性によるコメディ映画。話のテンポが良く、エンタメ性も人間ドラマも盛りだくさんで面白かったです。

○元作家のベンは新しい職として介護士を選び6週間の訓練を受けた。晴れて介護士となり、筋ジストロフィーを患っている少年のトレヴァーの母に雇われる。トレヴァーはかなり気難しい性格をしており、何ヶ月も介護士が見つからない状態だった。しかし、ベンはトレヴァーと真正面から向き合うことで信頼関係を築くことができた。トレヴァーはテレビで特集された”つまらない名所”のマップを作ることを趣味としており、ある出来事がきっかけで家に閉じこもりきりだったトレヴァーは外の世界へ旅行に出かけることになり……。

トレヴァーの性格は、普通の反抗期男子も真っ青なくらい偏屈で口汚くて憎たらしい性格をしています。劇中で何回「クソ」って言ったことか。
けれど、それは彼が自分の障害を嘆いて悲観的になっているからなんですよね。同い年くらいの男子なら、今頃ヤリまくっているのに、自分が局部を見せるのはクソしてケツ拭いてもらうときだけ。そんなイライラが変化を嫌ったり他人への攻撃的な態度に表れているんです。

けれどベンは、一応介護士という立場で仕事をこなしますが、トレヴァーがいたずらをしたりワガママを言うと、放っておいたり言い返したりするんです。
きっと今までの介護士さんは、障害者と介護士という枠組みを越えずに対応していて、トレヴァーも心の隙間が埋まらず攻撃的な態度を続けて、介護士さんがブチギレて辞める、なんてことを繰り返していたんでしょう。
彼を「障害者」としてではなく「トレヴァー」として扱ったベンだからこそ、トレヴァーも嬉しかったんじゃないかなぁ。

トレヴァーが家を出てから繰り広げられるロードムービーもとっても良かった。旅先で出会う人々のキャラクターが良い!!

ネトフリのみ配信というのが非常にもったいない作品でした。
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