このレビューはネタバレを含みます
こーれ面白いです。
老人ホームで暮らす認知症のゼブは一旦寝ると最愛の妻が死んだことすら忘れてしまう。そんな彼は友人のマックスとともにある計画を実行する。それはユダヤ人である彼らの家族を殺したあるドイツ人の殺害計画だった。記憶の依代としてマックスから託された手紙を携え、ゼブはナチを探す旅に出る。
まず音楽がいいね。緊張感のあるオーケストラが常に流れている。
アメリカの雄大なロケーションも良かった。
手紙で何回も何回も妻が死んだって思い出させられるの、脳への負担やばそう。負のフィードバックだ。
3人目のナチの息子の演技すごいな。途中までめちゃくちゃいい人そうな表情してたのに、主人公がユダヤ人だと知るやいなや鬼の形相で、かなり恐ろしかった。あんなんチビるよ。この二面性こそ、戦争を生み出す我々人類の本性そのものだろう。
というかおじいちゃんたちの演技ってどうやってるんだろう。半分ありのまま半分演技って感じなんじゃないかって思えるくらい自然だった。
このおじいちゃんの高齢性が良いな。誰も彼が殺害計画実行中だとは思わず、子どもから大人にまで親切にされる。ふつう名乗ってもない初対面の人を家には上げないだろう。でもおじいちゃんだから上げたくなっちゃうね。
物語展開がとんでもなく巧い。ミステリとしてうまいなぁ。手紙のギミックも、手紙に書いてある内容を徐々に、そして語り手を変え替え明かされるの、気持ちよすぎだろ
いやーマックスはゼブの認知症を利用して騙してるんじゃないかとは思ってたけど、正直最後の展開は予想できなかったなぁ。クリスタルナハトのくだりで勘づけてもよさそうなものだったなぁ。