佐藤備忘録

mid90s ミッドナインティーズの佐藤備忘録のネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

「90年代への愛と夢が詰まった青春映画のマスターピース」とのこと。

90年代アメリカの空気なんて当然知らないのでなんとも言えないが、16mmの淡い青空は綺麗だった。

物語には2人の師が必要だって言ったのは内田樹だったか。
レイとファックシット、こいつらを主人公にしたドラマも見てみたいくらい魅力的な2人だったが、今作はそんな2人の師匠の間に生まれた分岐点に立つ少年の成長物語。

本来師であるべき兄への反発心。これもまたエモい。俺も兄ちゃんに言ったことあるわ「友達も彼女もいないくせに」って。めちゃくちゃ首絞められたな。俺は泣くだけしかできなかった。サンバーンは強い。

というか本来師であるべきなのは古今東西どの物語でも「父親」だったな。だけどスティーヴィーには父親はいないから兄が師代わりとなる。当然師としては未熟で未完成な兄に対して「父殺し」ならぬ「兄殺し」を決め込むスティーヴィー。そして少年はダークサイドにどんどん片足を突っ込んでいく。それを止めようとしたのがレイであって、結果的に事故って止めたのがファックシットってわけか。

家族と社会集団の間に立つ少年。そんな少年に嫉妬の目を向けるかつての友達。これもまたエモ。

スティーヴィーが最初に家の庭でスケートの技決めた時の「イェス!」が良い。多分あの瞬間はレイとかルーベンとかにもあって、その快感がどうしようもない現実を生きる彼らをつないでいたんだろう。

無知な日本人の俺からすると登場人物全員の中で兄貴が一番カースト高そうに見えちゃう。実際はオレンジジュース好きで金くすねるのも弟がいなきゃできないチキンで弱い者イジメ野郎で、見た目よりはるかにヘタレな等身大で普通のお兄ちゃんって感じ。いや流石にあんなに普通の兄貴は弟殴らないか。

ってか実際の子ども使ってこんな作品作っていいもんなんだな。実写ってそういうの異様なくらい厳しいのかと思ってた。

他の人のレビュー見て思ったけど普通に2人の師は兄貴とレイで良いな。無駄にファックシットを持ち上げてしまった。
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