このレビューはネタバレを含みます
思春期の息苦しさと葛藤が瑞々しく描かれた作品。
田舎はつまらないし、周りの同級生は刹那的なセックスに明け暮れる。自分の気持ちをわかってくれる人はいない。唯一の気晴らしは大して深くもない川に飛び降りて、水浸しになること。
嫌いなものを立て続けに東京から来た従兄にぶつけてみると、彼にも響くものがあったようだ。ここから今すぐ逃げろ。バスに飛び乗ってみたが、車窓から見える懐かしい景色。農作業の様子、よく座ったベンチ。急に不安がよぎり、バスの停車ボタンを押してしまう。
十代の不安定さ、言葉にしがたい苛立ちと焦り。そういったものの手触りを思い出させてくれる作品。