このレビューはネタバレを含みます
「あなたは何を信じ、疑い、選択しますか?」
と問いかけ続けられているような150分だった。
150分という長さにもかかわらず、長いとは全く感じなかった。
いやいや笑
という演出も少しあったけれど、それとは別の特別に過度な演出の部分は、最後の聖書の言葉によって、人間の目が概念で加工して作りあげてしまっているものの象徴なのだろう。
真実・虚偽・恐れ・信仰の要素が随所に散りばめられていた。
最後、あのお父さんだけは殺されなかったのは、最後まで娘を娘として信じていたからだろうか。
“わたしの手や足を見なさい。まさしくわたしなのだ。さわって見なさい。霊には肉や骨はないが、あなたがたが見るとおり、わたしにはあるのだ。”
父以外の登場人物は、例え肉親であろうと、怪物のようになってしまった姿を見て、もう人としては扱っていない目をしていた。同じなのに、同じとは思っていなかった。
でも、父は、それでも娘を‘まさしく娘’として信じ続けた。
信じることが、真実を歪ませることもある。
信じることが、現実を変化させることもある。
見応えのある映画だった。
何せ國村隼の演技と存在感が最高に光っていた。
こんなに素敵な俳優さんだったとは。
認識不足が恥ずかしいくらい。