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アリー/ スター誕生のkazataのレビュー・感想・評価

アリー/ スター誕生(2018年製作の映画)
3.5
IMAXで観ました。

今回が3回目(?)のリメイクになるそうで……ワーナーさんも擦りますなぁ(笑)
そもそもはイーストウッド監督×ビヨンセ主演で動き出した企画(それはそれで見てみたかったけども!)が、結局ブラッドリー・クーパー監督&ガガ様主演になったわけで……「いやいや余計に楽しみじゃん!」と日本公開を心待ちにしていた本作なので初日に駆けつけ鑑賞。

結局ガガ様が素晴らしいんだよね。何がって映画内での"圧倒的"なリアリティーが!まぁガガ様の歌を堪能できるってだけでもう超お得な映画なわけです。
(ブラッドリー・クーパーのトップスター感もさすがなんだけど、歌い出しちゃったガガ様には敵わないよね…)

真っ暗な路地裏で一人ひっそりと歌っていたガガ様が、(予告編でも使われている)ライヴステージで歌い出した時にはもう感極まってしまいました!曲も最高だし!(ブラッドリー・クーパーの歌も何気にイイじゃん!)
「こんな映画が見たかったぜ!」な完璧な流れで文句なし!!……ここまでは。

その後に長々と続く恋愛メインのお話は(所々で感動できるエピソードはあるけど)すでに語り尽くされた感ありまくりで……古臭い!これじゃあ『スター誕生』をなぜ今リメイクするのかについての意義を感じられない、ってか同時代性が皆無と思うわけで……(ため息)

まずは物語について。
ビッグになっていくアリーが常にいい子過ぎて面白くないし、没落していくブラッドリー・クーパー側も終始言い訳がましい。健康問題が原因で酒とクスリと云々…とか別にいいから、例えば新曲作っても売れなくて…的な"俺の時代が終わったな感"を描きながら、あくまでも音楽を軸とした二人の関係性が変化していく物語だったならば"ミュージシャンの悲喜こもごも映画"として楽しめたかもしれない。

続いてキャラクター問題について。
やっぱりアリーのキャラクターが現状弱い……と言うか全くダメ!
例えばこれが、ガガ様じゃなくて全くの新人ミュージシャンが主役抜擢されてリアルに"スター誕生"する映画…になっていたならば良かったんだと思う。(それこそ非白人で)
でもね、これを天下無敵の大スターのガガ様が演じちゃうもんだからさ。"レディー・ガガ"という強大なキャラクターに対して、とてもじゃないけど"アリー"は敵わないよね。「ガガ様スゲー!」とは思うけど、「頑張れアリー!」とはならない。
(後半のライヴシーンとかの見応えの無さね…ガガ様のおかげでなんとか乗りきれた感じ…)

これね、今『スター誕生』をガガ様でリメイクするんなら、ブラッドリー・クーパーさんは監督に専念してもらって、ジャクソンのポジションをジュリアン(ムーア)様とかケイト(ブランシェット)様に演じてもらうべきでしょう!
(……『ボヘミアン・ラプソディー』路線ですね)

もしくは、アリーの見た目には障害があったりして(現状のコンプレックスぐらいじゃ弱過ぎだって…)、人前に出ることへの恐怖心があるんだけども、それを乗り越えた先に"自分らしさ"を獲得してスターになっていく…とか。
(……『グレイテスト・ショーマン』路線ですね)
(大好きなアーティストSiaみたいに顔面を見せないライヴだって成立するわけだし)

とにかく、ガガ様と言えば全世界の多くのマイノリティーに勇気と希望を与えてきた"アイコン"でもあるんだからさ!
その想いをアリーというキャラクターにぶち込めてくれたなら大傑作だったのに!!
(映画冒頭のバーのシーンを見てちょっと期待したんだけど、お飾り程度で終わっちゃったのが残念でした…)


本作への期待が大きかった分、長々と文句を書いてしまいましたが、、、ラブストーリーとして感動的なラスト(曲の最後の見せ方もイイよね!)だっただけに、いろいろともったいない印象でした。
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