あんがすざろっく

アリー/ スター誕生のあんがすざろっくのレビュー・感想・評価

アリー/ スター誕生(2018年製作の映画)
4.0
何とも濃密な136分だった。
今年は「ボヘミアン・ラプソディ」もそうですが、音楽の力を体感できる作品が年末に続きました。
「ボヘミアン〜」はクィーンの音楽の素晴らしさが作品の原動力になってましたが、本作は純粋に歌声が伝える力強さが魅力です。

とは言え、僕は個人的に作品通して全ての音楽に魅力を感じた訳ではないんですが…。
恐らく、主人公ジャックと気持ちが被ってしまったのかな。

ジャックがアリーを最初に発掘した時には、本当に心から歌に気持ちをこめてたんですよね。
ジャックと一緒にステージで歌っている時のアリーの楽しそうな姿が印象的です。

そんなアリーの姿に将来性を感じたレコード会社のマネージャーに声をかけられ、いよいよアリーは本格的にレコードデビューすることに。
アリーはジャックの手元から飛び立ち、スターへの道を登り始めます。
最初こそ、アリーのデビューを喜ぶジャック。
でも多分、何処かで違和感を感じていたんだと思います。
マネージャーの意向で、アリーにはバックダンサーがつき、セクシーな衣装で歌い、踊る。
歌を聞かせるというより、ダンスやファッションを見せることに、重きが置かれ始める。

歌だけで勝負できるのに、ジャックからしたら、少し寂しかったのかも知れません。
しかし、自分のルックスにコンプレックスを抱えていたアリーからしてみれば、自分の容姿も含めて表現できる嬉しさがあったのでしょう。

僕も途中まで音楽に浸ってたんですよ。
サザンロックをベースにして、カントリー、ブルージーなナンバーが続きましたから(オールマン・ブラザーズ・バンドも流れる‼︎)。
それがどんどんメジャー路線へ移っていく。
恐らく、音楽と時代の移り変わりを描いてたんですよね。
今は「見せる」音楽の方が支持されますから。
ただ、だからこそ、ラストの「I'll never love again」が際立ちました。僕は予告で流れまくった「The Shallow」より、こちらの曲の方が好きだったな。

それにしても、ブラッドリー・クーパーは凄いですね‼︎自分でギター弾いて、歌ってるのかな。渋くてカッコイイ。「ウォーク・ザ・ライン」のホアキン・フェニックスとリース・ウィザースプーンも見事でしたが、歌の上手い役者さんはそれだけで魅力的です。

それにブラッドリーは本作が監督デビュー。これからの活躍にも期待大ですね。「GOTG」でロケット見る度に、彼の姿が思い浮かぶかも知れない(笑)。

それから、ブラッドリー扮するジャックの兄を演じたサム・エリオット。流石のいぶし銀。この人はいつだって、見ているだけで絵になってしまう。アメリカ西部の景色がこんなに似合う役者さんも、そんなにはいないんじゃないかな。
とにかくこの二人がカッコ良すぎて。

主演のレディ・ガガ。実は僕はこの人のことはよく知らないし、曲もちゃんと聞いたことがありません。
歌声はやっぱり力強いんですね。
堂々の貫禄。
いつも奇抜なファッションで話題になってるのは知ってるけど、素顔も素敵じゃないですか。

ですが、大変申し訳ないながら、僕はあまり惹かれず…。
この作品は、どうしてもジャックの映画に思えてしまいます。

あと、僕は終わり方が好きになれなかった。
作品として、この幕引きが正解なのかも知れないけど、僕は駄目でしたね。
ただ音楽の素晴らしさは充分伝わる作品なので、劇場で観れたのは良かったと思います。
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