MasaichiYaguchi

21世紀の資本のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

21世紀の資本(2017年製作の映画)
3.6
世界的なベストセラーである同名経済学書を、著者であるトマ・ピケティ自らが監修、出演して映画化した本作は、「プライドと偏見」「ウォール街」「レ・ミゼラブル」といった映画や小説、ポップカルチャーを盛り込んだ構成で18世紀から現代に至るまでの300年の歴史を“資本”の観点から切り取っていく。
原作は700ページもある分厚い経済学書なので、到底私のような者では太刀打ち出来そうもないが、前記したように親しみのある“映像”の数々や、トマ・ピケティをはじめとした経済学者たち、コメンテーターが分かり易い補足説明を随所でしてくれるので頭をフリーズさせずに観ることが出来た。
それにしても、現代社会における「格差拡大」が300年前から延々と続けられていること、「富と権力の集中」の成り立ちや構造、その負のスバイラルから生まれる「対立」や「排他主義」の“メカニズム”が紐解かれ、目から鱗が落ちる思いがした。
ただ本作を観たことによって即座に自分たちの生活が改善され豊かになる訳ではないが、それを知っているのと知らないのでは“世渡り”の仕方、その社会への対処の仕方が違うような気がする。