延々と歩く

鷲は舞いおりたの延々と歩くのレビュー・感想・評価

鷲は舞いおりた(1976年製作の映画)
3.5
 チャーチル誘拐のためイギリスに潜入するナチ精鋭部隊のお話。監督は「大脱走」「荒野の七人」のジョン・スタージェス。

 戦争なんて悲惨でしかないのに「ドイツにだって誇り高き軍人がいた」なんて言われてもねえ~と思ってたけど結構おもしろく見てしまった。スタージェス監督の演出もムダがなく緊張感がとぎれない。60代で撮った本作を最後に引退してしまったそうだが、これだけ出来るならもうちょっと…とも考えちゃうけど色々あるのかな。まあ映画監督の仕事なんてヘヴィなもんだろうし。

 ほぼ難癖に近いけど「プロットのよく出来た映画」特有のわざとらしいまでいかない説明的なセリフの多さってどうも気になる。「警備隊が不審な動きを感知しました」「むむむ、それは敵に違いない!すぐ○○省に連絡したまえ!」みたいなやり取りは理屈としては必要だけど別に映像的に面白さはないよね、みたいな。

 まあ昔から映画に重要なのは「スジ・ヌケ・ドウサ」→「ストーリー・映像・演技」というくらいで、けっこう上位にロジックなものが来るジャンルではある。こっちもお話のよう分からん映像ばっかり綺麗なアート映画そんなにみとるんかと言えば全く違う。

 割と途中から観ちゃった映画でユダヤ人少女の殺害を拒んだ部隊がヒトラーの思いついたスーサイドミッションを押し付けられ…という冒頭は見てたのだがそれ以降をウィキで確認すると→

 「部隊のリーダーは反ヒトラー派だったために投獄された父の保釈を条件にイギリスに潜入。しかし部下の一人がおぼれた少女を救うため溺死、彼らの身元もバレてしまい…」という悲劇で泣かせる気満々のプロットにビビる。まあ劇中はいわゆる「ティアージャーカー」、お涙頂戴みたいな演出はしてないけどベッタベタなドラマツルギーであり受けるだろうな、とも思う。戦争を扱うならどんな美化も許されない、という厳しい態度も分かるけどそれだけの大事件なのだから映画や小説の想像力で浄化したくなる、というか。
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