1990年代から紛争が続くコンゴ民主共和国の東部キヴ。
コンゴの反政府勢力と手を組んだ隣国ルワンダ軍兵士や民兵が、村の住民を突如襲い惨殺したり、恐怖で支配し従わせるために性暴力を続けている地獄の地域。
この地で、15年以上に渡り、性暴力を受けた女性たちを治療・サポートしてきた、南キブ州パンジ病院の婦人科医デニ・ムクウェゲのドキュメンタリー。
その殺戮・性暴力の実態。犯罪者を罰する事すらしない政府・・・言葉を失います。。
我々と同じ人間として生まれながら、こんな獣(けもの)以下の行動が繰り返され野放しにされているとは。。
さらに、その要因が、我々が使う携帯電話のコンデンサ等に使われるレアメタルの原材料コルタンという鉱物(コンゴがその主要生産地)の採掘(奪取)のためということを知り・・・
ムクウェゲ医師は1999年にコンゴ東部にパンジ病院を設立して以降、4万人以上のレイプ・サバイバー(性暴力被害者)を治療し、2012年には暗殺未遂にあい、一度はパリに亡命したものの、コンゴの女性たちの熱烈な働きかけで再び病院に戻り、活動を続けているという凄い方。
いくら手術やケアを続けても実態は変わらないと、その「性的テロリズム」の実態を世界に告発するアドボカシー活動も続け、国連人権賞(2008)、ノーベル平和賞(2018)などを受賞されています。
身体を破壊され何回もの手術を受け、純潔、名誉、家族、勉強の機会...すべてを失い、レイプされた子を産み、その子が再びレイプ被害に合う。。
こんな体験をした少女や若い女性たちに、苦悩を根こそぎ取り除き、自分を取り戻すことはできるはずだと励ますムクウェゲ医師。
そしてそれに応え、苦悩を乗り越え、前を向き、団結する女性たち。。
タイトル『女を修理する男』。
モノ同様に扱われ、まさに“破壊された”女性の身体と心の修理、それだけでなく、崩壊状態の国家の修理も担っている男。
美しいコンゴの自然を見つめ、こんな状況でも希望を語るムクウェゲ医師の姿。
このジャケ写のような笑顔で暮らせる日常はいつやってくるんでしょうか。