Natsumi

喜望峰の風に乗せてのNatsumiのネタバレレビュー・内容・結末

喜望峰の風に乗せて(2018年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

映画の出だしでコリンが人混みの中からスーツ姿で出てきた時、まじでかっこよすぎて「はぁ!?!?」って声出た🫢
てかコリンファースの広告全部可愛すぎるんだけど、まじ元データくれよ………🤲

実際「ヨットで世界一周」だなんて我々が想像しきれない部分の方が大きいというか、知り得る部分なんて1%にも満たないと思う。“やった人にしかわからない絶望”の中、落下時つかまる用のロープを切るシーンはドナルドの心に覚悟が決まった感じがして「そうか…」って悲しくなった。帰ってくるって信じて観てたから、この結末は本当に悲しかった……。

ものごとって、うまくいかないことも多いと思う。ヨットレースで例えると親近感ないけど、日常生活のいろんなことで皆がみんなこうならないとは言い切れないし、過度な期待の中で「もう戻れない」って感じたら「もう消えるしかない」って思う人もいるんだと思う。
ドナルドには“絶対に許してくれる家族”がいたけど、でもだからこそ自分が許せなかったのかもしれないね……。生きていたらドナルドが想像しなかった未来もあったのかもしれないけど、死んでしまったら全部無くなっちゃうんだよね。でも彼の死を悔やむことはあっても、誰にも彼を責める権利はないと思う。正直あんな極限状態で「残される人のこと考えて行動しろ」はさすがに無理だと思うし、逆に家族のことを考えたからこそ「自分がいない方がいい」って思ってしまって死を選んでしまったんだと思う。そんなことないんだよって、誰も伝えてあげられない状況だったのがひたすら悲しい。

観客やマスコミにとっては「いつか忘れるそのひと時のネタのひとつ」だけど、家族からしたら今までの日常を、唯一無二のお父さんを失ったんだよね。「最後までやりきるべき」という一部の部外者の圧が、間接的に彼を殺したように感じた。たくさん考えたくなる映画だった。
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