グリーンとベージュの柔らかなニット。細い首までスッポリと包んだ幸せな配色のタートルネックは暖かそうで、寒い国の小さな命を守っていることに胸が詰まる。
国や役職者のメンツは、人間の命よりも大切なものだろうか。
息の仕方を忘れそうになるくらい四六時中続く緊張感。耐えきれず途中で一度休憩を挟む。窓を開けて外の空気を思い切り肺に入れた深呼吸は、クルクスの乗員が切に祈っていたことだよね。
説明会で最後尾からじっと見据える息子の目。キュッと口を結んで握手を拒んだ腕。母親に抱きしめられることを待つ年齢のほんの小さなその肩に、この子はどれだけのものを背負うのだろうか。