登場人物たちはみんな多彩な性事情を抱えているのにそれにウジウジと悩むことなくみんな前を向いてそれぞれの性を楽しんでいる様子をカラッとテンポ良く描いたドラマが素晴らしくて見終わったあと自然と前向きな気持ちになる、『桃尻娘』を手掛けたファンキーさんこと小原宏裕監督だからこそ作れた映画。
結婚するまでに百人の男のチン拓を作ろうとする主人公を何の衒いもなく明るく演じる朝比奈順子がはまり役、ある体験から同性愛になった主人公の友人と彼女と関係を結んでいる女性(高橋ひかるに似ている)のエロ行為に浸る演技も良くて性を謳歌する艶笑ポルノにぴったり。あと佐藤寿保作品から飛び出してきた変態中丸新将も◎、そして彼の行為がかつてその経験によりトラウマを植え付けられた女性によってとんでもない報復を受ける展開が痛快(その女性はどんどんとんでもない方向に向かったけれど)。
朝比奈が中盤から知り合いどんどんひかれていく性豪との漫画のようなテンプレなライバル関係にクスッとさせられる、そんな二人がお互いの性のプライドを賭けての55時間のセックス勝負もアホらしいけれどそれを役者さんが真面目にやっているのを見ているうちに何か楽しくなってきた。でも決着の付け方が卑怯すぎる…そんなこと一言もお客にも言ってなかったじゃないか。
漫画チックなそれまでの展開から変転して慎ましげな日常に戻っていくようなラストも微笑ましい。