安堵霊タラコフスキー

RAW〜少女のめざめ〜の安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

RAW〜少女のめざめ〜(2016年製作の映画)
1.0
カンヌで国際批評家連盟賞を受賞したりしたものの自分の好みと言えるか予告を見て判断しかねていたところでTOHOシネマズのポイントが貯まったので無料なら試しに見てみるのもいいかと思って鑑賞した結果、やっぱ来月以降まで使わない方が良かったと思うほど見たことを後悔した。

というのも予告の時点で若干そんな気はしていたのだけど、ギャスパー・ノエやパク・チャヌク、ラース・フォン・トリアーって感じの過激な作風の監督に影響受けてそうとは感じていて、しかし実際予想以上にモロに影響受けて過激な描写をひたすら工夫もなく映している様は、そこに哲学も美学も感じないせいでただただ下品に見えて辟易至極だった。

別にカニバリズムを題材にすることは悪くなく、同様の主題を美的センス溢れる演出で表現したネオンデーモンやガーゴイルは好ましく見れたのだけど、これはショッキングな映像が先行し過ぎたせいでただそういう衝撃映像を見せつけたいが為だけに題材を選んだような印象を受けてしまったし、その衝撃要素に関しても冒頭以外殆ど想定の範囲内だったことにも逆にゲンナリした。

近頃のヨーロッパの映画には、おそらく先述のギャスパー・ノエらの影響もあるんだろうけど、暴力的描写を入れておけば受けるだろうという魂胆からかエグいシーンの目立つ映画が多いように思えるのだけど、臨場感やリアリティを出す為に手持ちカメラや大きい手ブレを使うくらい安易で薄っぺらい表現には全く以って反吐が出るし、今回みたくそんな映画に時間を費やしてしまったときは不愉快で堪らなくなる。

しかしこんな気持ちになるのは偏に描写が汚らしい、というより汚らしい描写を撮っていることに悦に入っている風に見える為であり、特に主人公姉妹の立ちションにその趣向が窺えるわけだけど、糞をただ撮っても糞以外の何物でもないし、そういう生理的嫌悪感を催すものを撮ったからって別に凄くも偉くもないぞと強く言いたい。

兎に角ここまで酷いものを見たのは久々だけど、過去のオールタイムワーストがそうであるようにこういうのこそ記憶に強く残るものだから本当に困るし本当に腹が立つ。