風ノ助

永遠と一日の風ノ助のレビュー・感想・評価

永遠と一日(1998年製作の映画)
5.0
老いた詩人アレクサンドレは人生最後の一日を偶然助けた難民の少年と共に過ごす
少年に過去の偉大な詩人ソロモスの話を始めるとワンカットで時代が移り行く
ソロモスを真似て知らない言葉を買う遊びをする少年
“どこにいてもよそ者”
二人に共通する言葉だった
アレクサンドレは少年と自分を重ね合わせる

亡くなった妻の言葉を受け止めてこなかったことを後悔し度々妻の“私の日”の記憶に入り込む
いつも自分はよそ者だと思っていた
自分の言葉で語ることができなかった
少年から言葉を買い30年経ってようやく言葉で妻を取り戻す

少年と二人で乗ったバスの中では走馬灯のように風景が繰り広がる
最後にバスに乗って来たソロモスは人生は美しいと言う

亡霊のいる国境、海岸線、今日と明日
境界線を彷徨うアレクサンドレ

記憶の中の妻に明日の時間の長さを問うと“永遠と一日”と応える
時はずっと連なっている
向こう側へ渡ることは悲しいことではなく希望が見えている

うーん、わかったようなわからないような、でも観終わった時とても充足感があって幸せな気持ちになりました

風景、衣装、美術、構図、人の動き方
瞬きするのも惜しいくらい全てにおいて完璧な映像でした
繰り返す音楽も郷愁を誘います
ブルーノ・ガンツが少年に向ける笑顔に>―ズキュン→♡⁾⁾

言葉では上手く伝えられない映画です
風ノ助

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