Koshii

シュガー・ラッシュ:オンラインのKoshiiのレビュー・感想・評価

3.9
前作より6年の時を経て、アーケードゲームの世界から、オンラインの世界へと飛び出す!

やっぱり、ラルフとヴァネロペが可愛い!! 二人の会話や仕草に癒される2時間でした。 

本作のテーマは『親友』と『夢』。親友の大きな決断に対して、何をしてやれるのか。その際に、何を伝えるべきなのか。

『夢』を追いかけるために切り捨てなければならないもの。切り捨てると同時に選んだものを大切に持ち続ける勇気。

オンラインという、今まで生きていた世界より、遙かに広い世界に踏み出した二人。
彼らはそこで何を学ぶのか。


以下、ネタバレや感想を含みます。












今作は今までのディズニー作品とは一味違った、大人向けの映画だったように思う。大人さえ、その広さゆえに蹂躙されてしまうインターネット。ユーザーがインターネットを利用しているのか、もはや支配されているのか。

オンラインで無防備に闊歩している彼らの存在は非常に滑稽なのだが、それは僕らの毎日をリアルに投影した姿である。前作で、サイバクが光に向かって群がっていたように、『僕ら』は流行りや人気のコンテンツに引き寄せられる。

ゲームの住人であるラルフとヴァネロペの目線からインターネットの世界を観察することで、それが浮き彫りになり、現代人をうまく風刺しているようである。

そういった、無意識の世界を実際の企業やサービスを用いながらコミカルに描き、ブラックユーモアをふんだんに投下していく。もとより、皮肉屋のヴァネロペの存在が綺麗になじみ、純粋なラルフがスパイスとなっている。



おそらく、人気のシーンであろうディズニープリンセスの控え室に忍び込む場面。あの一連の下りが本当に好きで、「夢を歌うときに音楽が流れ、スポットライトが当たるのよ」と次のヴァネロペの夢を見つけた喜びを表現するという大事なシーンへと綺麗に繋がっていく(ヴァネロペのsteering weelの歌が大好き)。


そして迎えるラストシーンでの彼らの選択に、切ない気持ちでいっぱいになった。冒頭で二人が6年間離れることなく遊んできた場面が脳裏に幸せに焼き付いているから、当然なのだが、これはアダルトな結末であるようにも思える。

ヴァネロペは見つけた夢を追いかけるために故郷を捨て、親友と離れる決断をする。
他のディズニー作品だと、離れ離れになっても、実際はちゃんと会う機会が用意されていたり、暫しのお別れだったりと、完全に二人を別つというラストは少ない。

しかし、ここできちんと離れ離れになる二人を描くことで、夢のようなファンタジーの世界に、大人でもハッとするような現実的な辛さを落とし込む。別れの辛さにしっかりと向き合う厳しさは、一方で優しさでもあるように思える。

さらに、本作で登場するジョークも非常にテイストが大人向けであり、前作で少年少女だった鑑賞者にターゲットを向けている様にも感じた。例えば、ポップアップで『人妻は、、』のようなアダルトな広告であったり、ダークウェブでウイルスを取引しているオーナーも見た目がかなりキモくなっている。


見た目の変わらない世界ではあるものの、6年という年月分の成長を感じていたし、新しい世界に踏み出して、二人が大人になっていく様子も応援したくなる。
Koshii

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