父の再婚や転入学、失恋の痛手により自暴自棄に陥っている女子高生（東てる美）が、大人同士の性行動を垣間見ながら、性意識の在り方を察していく。思春期の少女による性意識の刷新を描いている、日活ロマンポルノ。

私刑（リンチ）という刺激的なワードをタイトルに冠しているが、強姦シーンは一箇所に出てくるだけ。あくまでも、東てる美の心の成長をスケッチした、至極真っ当な「性のドラマ」とするのが正しい。

谷ナオミ演じる継母がメンターとなり、東てる美に人間らしい感性や情緒を諭していく。また、東てる美の叔母役を中島葵が熱演しており、「少女の脆弱な性」と「大人の脆弱な性」を両義的に語らせることに成功している。

林功監督作品に特有の、良く言えば職人肌、悪く言えば没個性が際立っているが、東てる美という瑞々しいポルノ女優を見守るための「アイドル映画」という観点では、及第点の出来栄え。

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「後悔しながらでいいから自分を大事にしながら生きていってほしいの」等珍しく？谷ナオミが名言連発でその存在感がかなり頼もしい。このタイトルで少女の人間や大人としての成長を描いた青春映画っていうのは何だか疑われそうだけどちゃんとそういう系映画

東てる美が過去を思い浮かべると馬鹿正直に回想シーン（なぜか画面が青色）が始まるのは林功だからしょうがないとしても、五分前に見たシーンが回想としてもう一度描かれるのは流石にイラッとした。林功の映画がいつも平坦に見えるのは（大胆な）省略がないからだと思う。東てる美が自殺未遂で切った手首の傷跡がヒルでもくっ付いているんじゃないかと思うぐらい分厚いカサブタになっていて笑ってしまった。強姦されたトラック運転手の頭を鉄の塊でかち割る東てる美の暴力は良かった。ずる賢くてやさぐれている中島葵の芝居が俺は好き+0.5。