悪魔の毒々クチビル

マッド・ウォーリアーズ 頂上決戦の悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

4.3
信じたから、成し遂げられた

かつて42戦無敗だった格闘家ケイス・ウォーカーが、旧友ブロディの専属コーチを務めるもプロモーターの策略でやっぱ自分で戦う事になるお話。

「ネバー・バックダウン」シリーズ3作目で、主人公は前作で学生達を成り行きで指導したケイス・ウォーカーに変更。前作同様、ケイス役のマイケル・ジェイ・ホワイトが監督です。
実は1だけ観ていないんだけど、あんま繋がってなさそうだしMJW見たさに2から観ちゃった…
その前作は指導を受ける学生達に全然魅力を感じなかったのが難点だったけど、今回はケイスが完全に主人公ってことで超良かったです。
そう言えば脚本は3作ともクリス・ホーティなのよね。

ただ先に言っておきたいのが、ジャケットにトニー・ジャーが映っていますが彼はケイスの試合を見に来た本人役でのカメオ出演なので、一切アクションシーンは無いです。代わりに無駄に「フォオオオオオオオ!!!」とか叫んでいます。
なのでトニジャファンはそこを期待したらアカンです。
ジージャー・ヤーニンは一度だけですが、ちゃんとバトルシーンが用意されています。

前作もそうだけど、MJW本人が様々な武術の黒帯所持者なだけあって練習法の指導が当然ながら滅茶苦茶説得力あるんですよね。
「ブラッド&ボーン」のインタビューで「映画の主演オファーをこれまで何度も断って来たんだ。と言うのも俺のマーシャルアーツへの情熱を伝えるには映画じゃ弱い気がしてね」と語っていたのや、このシリーズでのケイスの立ち位置から察するに彼は指導者側に回りたいって気持ちもあるのかな~と思ったり。
今回も最初のケイスが戦うシーンで、回想シーン的な手法でこれから使う技の型を挿入すると言う、中々独特な場面がありました。
今回も弟子入り志願の二人に指導する羽目になり、「また教える事になるとはな」とボヤいていました。

ケイスの恋愛も掘り下げられていて、クソ強いのに奥手というギャップ萌えまで堪能出来る仕様。
ヒロインは実生活でもMJWの奥さんであるジリアン・ホワイトってことで、二人の食事シーンは普通にデート映像でした。でも彼女に連れ子がいる設定はあんまり意味無かったかな。
デート服を弟子二人組が用意したんだけど、「中々こんな筋肉ゴリラに合うサイズなくてさ」とか言われていて笑えた。

ケイスの旧友ブロディは、最初は悪い意味で如何にもセレブな態度で練習遅刻するは既婚者なのに女遊びするはでしょうもない奴なんだけど、ケイスとの日々を通じて改心していく流れが良かったです。
それこそ前作の不満点が生徒が精神的に大して変わってないどころか悪くなっている奴もいて、いち指導者としての魅力に欠ける所があったので。

MJWは今作時点で50歳ギリ手前くらいだと言うのに、筋肉は勿論技のキレや迫力も半端ない。
相変わらず脚技が変幻自在で、得意の跳び蹴りもまだめっちゃ跳べてる。
ん?ていうか「ブラッド&ボーン」の時も40越えてたってこと!?すげぇな。
今回は最後に戦う相手が2m超えの格闘家のネイサン・ジョーンズなだけあって、MJW相手に金的で怯ませたり打撃でダウンを奪える強敵ってのも良し。
グローブを捨ててからの構えがめっちゃ格好良かったです。
このバトルは訳あって場外乱闘みたいな形になるんだけど、まぁここら辺の流れに雑さを感じてしまうのはご愛敬。

単なるファイターでなく指導者としての一面も見せ方が上手く、ケイス・ウォーカーと言うキャラの魅力が前作よりも増強されていてアクション以外も充分楽しめました。

余談ですがブロディが劇中BOLT-THROWERのシャツを着ていて懐かし過ぎて思わず一時停止しちゃったし、別の場面ではGOATWHOREのシャツも着ていてこっちは知らなかったのでちょっと聴いてみたらば、ブロディさんよ、あんたデスメタル大好きじゃんかよ~!と上がりました。