ShimaD

アメリカから来たモーリスのShimaDのレビュー・感想・評価

アメリカから来たモーリス(2016年製作の映画)
4.1
男の子が落ちてるエロ本を拾うのは万国共通の法則…!

観始めからすぐに黒人版の『シング・ストリート』みたいだなぁと思いました。
言葉や人種の壁、甘くほろ苦い恋愛、若気のいたり、そして音楽。取り巻く環境が否応なしにモーリスを成長させようとします。
早く大人になりたい思春期真っ只中な13歳の子どもの等身大を描いた映画でしたね。

舞台のドイツをビジュアル的な面で楽しめるシーンは少ないですが、序盤とある城(名前忘れた)を見学中にイヤホンから流れてくる音楽と世界が融合する演出はかわいらしくてすきです。
父親に反発しつつも彼も音楽の魅力を十二分に信じていることがわかりますね。
父さんの影響と思われたくない、父さんとは違う、って思いたい年ごろなんですよね~。

人種差別的な描写は思うほど多くはなく、モーリスも思春期なので斜に構えてることもあってか、同世代との距離感は実際こんなもんだよなーって感じでした。
むしろドイツ語教師やお父さんとの距離感の方が気になります。
お父さんも職場のことで悩んでたり死別した奥さんへの気持ちを引きずってる風だけど、息子の前では気丈に、明るく振る舞えるよい父。
若干ミステリアスな立ち位置に映るドイツ語教師のお姉さんもオシャレしたらかわいいぞ、あれ。

ラップについてお父さんが「スヌープ・ドッグは3Pしたから云々」って説教するシーンについて、その字面から笑いも起きていましたが、
“てめぇでやってもいないことは歌うな”、つまり“自身の本心で発していない言葉は誰にも響かない”というステキなメッセージですよね。
お父さんはよく自分の過去を引き合いに出して息子に語りかけますが、子どもにとっては(そんな昔のこと関係ねぇし)ってことも、
親にとっては実体験から反面教師的にアドバイスしてることもあったりして、ちゃんと地に足をつけた大人の意見なんですよね(テープの中身の件でカウンター喰らってたけど笑)

いちおコメディらしいので笑えるシーンもたくさんありましたし、設定のわりに重苦しいものでもないので観やすいと思います。
それにしても、めっちゃお父さん気に入ったんだな、じぶん笑
ShimaD

ShimaD