ブラックユーモアホフマン

結婚式のメンバーのブラックユーモアホフマンのレビュー・感想・評価

結婚式のメンバー(1952年製作の映画)
4.6
なんじゃこの映画!!

とにかく主人公フランキーが大暴れ。情緒不安定で、話を聞くだに自分と他人の区別がついていないというか、若さゆえかまだその境界の認識が曖昧な人なのかもなと思ったり。しかしかと思えば自分の家の庭を気に入らない奴らが通るとガンギレする。
好きな人のことはとことん好きで相手にも同じ大きさの愛を求め、嫌いな人のことはとことん嫌いで顔も見たくない、っていう極端な対人関係の築き方をしているような。

フランキーの短髪で不衛生な感じは、こういう言い方は良くないけど、ボーイッシュというか。なのに対して、従弟のジョン・ヘンリーは女性の格好をしたがったり、可愛いお人形で遊びたがったりする。これも結局どんな意味なんだか分からなかったけど、自己と他者の区別がつかないのと同じように、男と女の区別もないっていうことなんだろうか。

ジョン・ヘンリー役の子、なんか見たことある気がするなと思ったら『シェーン』の子か。でもこのブランドン・デワイルドさん、30歳で亡くなってるんだな。
映画の中でも最後、唐突に死んでしまう。すごい理不尽な話。

どんな話なんだかいまいちまだ消化しきれてないけど、原作はカーソン・マッカラーズの短編小説ということで、確かに小説っぽい内容かもなとなんとなく思った。
フランキーの情緒の振り幅についていけないんだけど、でも確かに子供ってこのくらい意味不明かもなとも思う。自分もかつてはこれに近かったかもしれない、そんな部分は今の自分にも残っているところがあるかもしれない、などとも思い。

最近ダグラス・サークを連続して観てたから、フレッド・ジンネマンの撮り方がすごく新鮮に感じた。顔の寄りの多さとか。舞台がほとんど変わらないからこその工夫なのかもしれない。

【一番好きなシーン】
夜、部屋の明かりに群がる窓の外の蛾。