三樹夫

ドラえもん のび太と銀河超特急の三樹夫のレビュー・感想・評価

3.2
次作の執筆途中にFが亡くなったため、F完全原作のドラ長編はここまで。おそらく『銀河鉄道999』、『ウエストワールド』、『ボディ・スナッチャー』を元ネタとしているだろう作品。SL型の宇宙船で遊園地惑星に行き、西部劇などを体験できる様々なアトラクションの惑星で遊んだ後、人間に寄生する宇宙人と戦う。SL型の宇宙船の話はてんコミ20巻収録の「天の川鉄道の夜」で過去行っており、『ウエストワールド』のオマージュはSF・異色短編1巻などに収録されている「休日のガンマン」で行っているなど、自身の過去作からの流用の割合の多い映画となっている。

散々っぱら自慢したミステリー列車の切符を上回る宇宙ミステリー切符をゲットしたのび太に対しスネ夫が宇宙は危ないんだぞとやっかみを言うが、スネ夫の言った通りのことが起きる内容となっている。のび太って映画になると急にカッコいいこと言うんだから。西部劇惑星が自身の短編で過去行っていたり、メルヘン惑星のオチだったりで、SF・異色短編感が強い。ただし、ドリーマーズランドへ行くまでの列車内でのアトラクション、西部劇、恐竜と個々のエピソードの詰め合わせの串団子脚本の様になっており、散漫な印象を受ける。ヤドリ関連の話も映画内で占める割合が少なく対決もあっさりしており、映画としての盛り上がりに欠けるところがある。Fの好きなものが詰まった映画ともいえるが。

この映画を観て漫画界でのび太射撃最強説を唱える奴はアホ、とのび太が神格化されないように言っておきたい。対人の殺し合いなら絶対負ける。てんコミ24巻収録の「ガンファイターのび太」だと撃った弾で相手が血出すの見て気絶してるので人殺せないし、そもそも体力と運動神経が壊滅的にないしで、ガンマンにもスナイパーにもなれん。しょせんゲーム的な遊びの射撃でしか輝けんボンクラというか、あやとりといい何の役に立つのという特技しか持たない男。
三樹夫

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