夜行列車に乗ったカリート

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアの夜行列車に乗ったカリートのレビュー・感想・評価

3.7
ヨルゴス・ランティモス監督作
心臓外科医に振りかかる不可思議な災難を、気持ち悪くも恐ろしく描いた作品。

物語は、心臓外科医スティーブンと、彼の手術で死んでしまった患者の息子・マーティン、…という微妙な関係の2人で進行します。

まず、この関係性がすごく奇妙で不気味です。
現実だったら、医師が患者・親族にここまで深入りすることはないでしょう。
事件に発展する可能性もあるし、単純にこういった関係性を持つのは危ないですよね。

案の定、マーティンの「うちの家族を1人殺したから、先生の家族も1人死ななきゃいけない」という一言で物語が急変します。
スティーブンの子供に異変が起こり、誰を殺すのか選択を余儀なくされるという…

各家族の「自分を助けて」、というようなやり取りがすごく気持ち悪いです。
とくに母親の「子供はまた作れば良い、子供のうちどちらかを殺そう」といった発言は、考えたとしても口に出すのも憚られるというか…。
親の言う言葉じゃないだろ、という思いが強いんですが、そりゃ助かりたい気持ちもあるのかね…なんて思ったり。
うーん、気持ち悪い。

マーティンはおそらく比喩そのものでしょう。それはスティーブンの良心だったり罪悪感だったり。

あと所々笑えるシーンが良いんですよね。
スティーブンが自身の秘密を暴露するシーン。すごいシリアスな場面なのに言ってることが馬鹿すぎて、そのシュールさに笑いました。
大量だったよ…って…