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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのterusukのレビュー・感想・評価

4.1
面白い。
「哀れなるものたち」が面白かったので、同じヨルゴス・ランティモスの手による作品を続いて見てみた。

感覚的な作品なんだと思う。
情報量は少なめ、設定に関しては説明しないのだ。

芝居自体も抑えて抑えて、殆ど表情も殺す。

そんな地味な演技に音は不快な不協和音系ノイズ。
俯瞰目線やバックショット等、客観的というか神様目線というべきなのか、ちょっと変わったアングルも多い。

こんなだから、勝手に観る側が、色んなことをあれこれ想像させられるんだけど、それを敢えて狙ってるんだろうか。

バリー・コーガンの演じる男は一体、何者なのか、本当にこの男が言う予言めいた惨事は起きるのか、だとしたらそれは何故起きるのか、その辺は一切説明しないので、引き込まれるんだけど、引き込んでおいて放置するのだ。

このアプローチはおもしろい。

ちょっとでもホラーやファンタジータッチになったらチープになってしまう。
そう感じさせる要素は排除されていて、あくまで、トラブルが起きた人間のリアクションや心理を描くということにフォーカスする。
そしてその家族たちのリアクションは、それぞれに利己的だ。
あーやだやだ。

なんだか救われないし、楽しいことなんか一切無いけど、面白いと思った。
何故なのか、言語化出来ないでいる。
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