JAmmyWAng

22年目の告白 私が殺人犯ですのJAmmyWAngのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

何というか、頑張ったと思う。

大衆描写の画一的な浅薄さがそれなりに引っかかったんだけど、結局この登場人物達にとっての大衆とはそうして意図的に利用される拡散性でしかないワケで、本来は職業的に公共性を有するはずの刑事だろうがジャーナリストだろうが、誰一人として匿名の大衆ではなく特定の個人にしか視線を注がないというミクロな感情性こそが物語を牽引しているという印象。

つまりこの登場人物達のやり取りは、そのほとんどが表面的には2017年の大衆に向けられていながらも、実際はその行為によって1995年という特定の年代を掘り下げようとしているワケです。

そのようにして過去に向けて共有されたそれぞれの視線が、「目」の形をした一つのテーブルを囲むニュースの生放送は表現的に今作のハイライトだったと思う一方で、1995年モチーフとしての若干露骨なシャ乱Qの『シングルベッド』には正直笑いました。

入江悠監督のインタビューによれば、現代でも1995年からの地続き感というものが存在していて、社会においては当時の感覚からズレない部分があるという事だったのですが、つんくがアイドルのプロデューサーになったように、勿論世の中には変化する部分もある。

その意味では、飛行機でどこかへ旅立った藤原竜也がいつか日本に帰国した時、今度は限定ジャンケンや鉄骨渡りに身を投じていく圧倒的物語が始まるのかもしれない。
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