都落ちMiyaco

ラストレシピ 麒麟の舌の記憶の都落ちMiyacoのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

一度食べたものの味を記憶し、完全に再現できる”絶対味覚”の能力と、依頼を受けて思い出の味を再現する仕事は、結局のところ依頼されたものを過去に食べているわけではないから結びつかないように思います。まあ、限られた情報からでも「こんな味だったのではないか」と推測できる、味に対する勘の鋭さみたいなものが並外れているのかもしれませんが。

主人公・佐々木充(二宮和也)の状況と、かつての満州で幻のレシピを考案したと言う70年前の料理人・山形直太朗(西島秀俊)の間に共通点が少しずつ見えてきて話が展開されていくので、先を予想しながら鑑賞できる点で、分かりやすいと思います。
最初は豪華絢爛で世界中の料理の良いとこ取りをしたような料理が多かったけれども、後半にいくにしたがってどこか素朴さがある料理が増えていくのが、料理に対する心境の変化を表していて良いですね。
ラストで充の作として出てくる料理が、山形の料理をさらにアレンジしたものになっていて、「料理に完成はない。進化し続ける」と言う山形の理念が受け継がれたのを感じました。