開始五分で「観るのやめようかな…」と思ったが。。。
【真綿で首を締められるように】
冒頭から一つ目の物語の転機が訪れるまでは、ひたすら気だるく地味な、「あー、邦画のこう言うワクワクしない華の無さ嫌いだなー」と思い、観るのをやめようとしたが。
しかし、大きな転機が訪れてから日常生活が壊れていく様子がジワジワと描き出されてからは一気に物語に引き込まれて行った。
当たり前になっている生活システムやインフラがストップする不便さや恐怖を、始めはコミカルに、次第に絶望的に描くテンポ感は、観る側(もしくは実際に非常事態に遭遇した場合)の認識のリズムとマッチしていて息苦しさを感じる見心地。
【人間の底力】
徐々に絶望的な状況に陥っていく家族だが、そこから力強く前へ進んでいく様子を正面からしっかり描いている作品の芯の太さを感じられる。
さらには人物描写や人間ドラマの描き方もぬかり無く、キャラクターそれぞれに感情移入ができる仕上がりになっており、作品としてかなり秀逸な出来映え。
ラストまで丁寧に作り上げられた物語は、人間の弱さと底力を優しく描き切った感動を与えてくれる。
