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ジグソウ:ソウ・レガシーのbutasuのネタバレレビュー・内容・結末

ジグソウ:ソウ・レガシー(2017年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

期待値ゼロで観たので、意外と面白かった。基本的にソウの続編はグロテスクなゲームを売りにするだけの凡作ばかりで、シリーズが進むにつれて登場人物が増えていった影響もあり、どんどん単独映画として楽しむことが難しくなっていった。どんでん返し的なことをしようとするがあまり、強引な上に話自体としての面白さが欠けていた印象が強い。その点、本作はこのぐだぐだシリーズの仕切り直しにある程度成功しているといっても良い。ジョン以外の登場人物を一掃し、本作の鑑賞だけでわかるシンプルな構造で90分に手堅くまとめている。これまでのシリーズ作への愛も感じられつつ、新規観客がしっかり楽しめるような作り。

「実は時間差があった」というオチは過去作でも使われていたものであるが、ちゃんと道中にヒントをたくさん入れているため、意外性は薄いものの悪くない。むしろオマージュ感があって自分は好感を持った。一人目がほとんど事故のような状態で犠牲になったのがゲームの趣旨にそぐわず、この人は生きているんだろうなぁと思っていたらすぐに死体が警察に発見されて、しかもゲームの現場にジョンが登場する、そういえば参加者は誰も有名な「ジグソウ」に言及していない…というようにとても丁寧に「時間差」の推理ができるサスペンスの作りになっているのも、なんだか普通の映画を観ているみたいで新鮮だった。ただ、このオチのために劇中で使われた様々なトリックは、冷静に考えるとかなり穴だらけで無理がある。テンポの良さでなんとか誤魔化して見せきった感じ。

それぞれのゲーム自体がちょっと緩かったり参加者の行動がちょっと短絡的だったりしたのも、ジグソウ初期のゲームということならまぁご愛嬌かな。告白すれば助けてやるって言われているのだから、さすがにもう少し正直に話す人がいそうなものだけども。三輪車人形をちゃんと出してくれたのは嬉しかった!

グロはかなりのものだったが、あまりに極端だったので怖くはない。逆にちょっと笑っちゃうレベルのグロさ。どのゲームもわりとあっさりと決着がつくので、痛みとか苦しみみたいなものを味わう時間が非常に短い。これも恐怖感が少なくなる要因のように思う。サクッと見られるのでこれはこれで良いが、物足りなさは残る。

ショットガンのゲームは非常にシンプルで好き。「短絡的な行動をとらずに冷静に観察すれば生存方法が見つかったのに」というのはソウの王道で、これをしっかりと踏襲した単純明快なゲームは観ていて非常にスッキリする。当然あの女性が最後まで残るだろうというこちら側の読みを逆手に取っているのも上手い。

最後を決まり文句「ゲームオーバー」で終わらせないことから、あいつは後継者ではなく私怨による復讐を実行しただけ、ということを強調しているように自分は感じた。この辺りも好感が持てる演出である。
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