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サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~のkarmapoliceのレビュー・感想・評価

4.3
Sound of Metal:ダリウス・マーダー監督、脚本、デレク・シアンフランス製作総指揮、原案、リズ・アーメッド主演、2019年作品。Amazon Primeオリジナル作品。聴力を失っていくドラマーの物語。

けっこうな衝撃作だ!!タイトルからヘビー・メタル・バンドのドラマーの物語だと思い敬遠していたが違って、観て良かった。「サウンド・オブ・メタル」は音楽のジャンルではなく、別の意味を表していたと思って良さそうだ。物語は聴力を失っていく事の恐怖と葛藤、聴力を失った人たち同士のコミュニケーション、心理描写を中心に描かれている。

音響、効果音、若干の音楽、とにかく全てのサウンドの効果・演出が素晴しく感動した。聴力が失われていく人が聞くであろう歪んだり、濁ったりした音を疑似体感出来るような部分もある。主人公のルーベン(リズ・アーメッド)への共感も強まったし、途中鑑賞者である自分自身が、音が聞こえる事に喜びや楽しみも感じさせられたように思った。

手術後の物語が非常に深いものになっていて、特に支援グループのリーダーのジョーの言葉「私にとって静寂こそが心の平穏を保てる場所だ。その場所は決して君を見捨てない」は印象的だ。終盤の怒涛の展開に釘付けにされ、ラストシーンに打ちのめされたような気がした。刺さるものがあった。また観たいと思う。
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