いまだにTSUTAYA DISCASを愛用しているアナログな人間なので😅、本作は観たいと思いつつスルーしていた。まさか上映してくれるとは。話題の波には乗り遅れてしまったが、むしろ映画館で観れて本当に良かった。
自分は音楽には全くもって疎いのだが、撮影をするようになってからは、録音や音響がいかに大変で重要であることがわかるようになった。その点において、難聴になった主人公の状況をここまで疑似体験させてくれるとは驚くばかりだ。
音響を担当したニコラス・ベッカーという人を初めて知ったが、過去に『ゼロ・グラビティ(アルフォンソ・キュアロン監督)』や『メッセージ(ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督)』を手掛けているのだとか。アカデミー賞の音響賞を獲得したことも頷ける。
上映館である『ヒューマントラストシネマ渋谷』の音響環境が良かったことも、作品にプラスになっていた。『odessa』というシステムが使ってあり、説明を読んでも僕には難しいが、とにかくグレードアップしたスタジオクオリティ音響らしい😆
身の回りにはたくさんの音が溢れており、人とのコミュニケーションも耳からの情報に頼ることが多い。それが突然聞こえなくなった時の恐ろしさを、本作は圧倒的な音の存在感によって作り出している。それとともにあの静寂の美しさにはただただ感銘を受けるばかり。この相反する「動」と「静」の音の振動を同時に体験させてくれる稀有な映画だ。
*本作は監督と制作者の意図により、全世界の劇場で『バリアフリー字幕』となってます。