このレビューはネタバレを含みます
実際にああいうふうに聞こえるのかどうかは疑わしいけれど、真に迫った聾唖者の映画だった。
音楽家が耳が聞こえなくなって絶望、その生活に慣れる、やはり健常者のように聞きたい、でもその技術は不完全で、健常者とは分かり合えないことを知り、最後にはコミュニティの言った通り、沈黙の世界で心が休まる。
たぶん、こうなんだろうなあ、耳が聞こえない人の感覚って。どうやったって今までの生活には戻れないけど、それを求めてしまう、けれど、決して元には戻らない。
かつての恋人とも分かり合えない悲しみ。耳が聞こえない世界の人とは決別したはずなのに、耳が聞こえない世界が自分の居場所であると知る、あの最後の表情、、、
それ以上に彼の大きな黒い目が好奇心、失望、そして最後の穏やかな静寂を物語っていて、とてもいい配役だった。