アキラナウェイ

ツイスターのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

ツイスター(1996年製作の映画)
4.0
It's coming!!

ヤン・デ・ボン!!
ヤン・De・ボーーン!!!
この人の名前は大声で連呼したくなる魅力があるね。

'96年当時劇場鑑賞した映画を懐かしんで再鑑賞。
スピードで度肝を抜かれた当時大学生の僕はヤン・デ・ボンという監督の名前を脳裏に刻んで、この映画を観た。

牛が飛ぶ。
トラックが飛ぶ。
家が飛ぶ。

もう、それだけで大興奮だった。
いつからかCGや視覚効果が限りなく高度に発達して、俳優はグリーンバックを背に演技する事が当たり前になった昨今。この当時の革新が如何に凄かったか。いや、もちろん今観ればチープに見えてしまうけど。それも、段々と味わいに変わってくるから不思議。

ストーム・チェイサー。竜巻を追い、その発生の仕組みを解明する事で警報を早め、竜巻被害を減らそうと奮闘する研究者達。竜巻により父を亡くしたジョー(ヘレン・ハント)と離婚間際の夫ビル(ビル・パクストン)らの決死の竜巻追走劇を描く。

再鑑賞して思い出したけどビルは再婚相手となるフィアンセを連れて、ジョーに離婚届にサインさせる為にかつての仲間達の元を訪れたんだった!

なんてこった!男女関係までツイストしてるじゃないか!!序盤から拗れる男女関係。面白い!

そして、竜巻オタクな彼らの異常性。
中でも今は亡きフィリップ・シーモア・ホフマンのテンションが好き。冒頭の「It's coming!!」も彼の台詞。

画期的な竜巻観測機「ドロシー」を積んで何処までも竜巻を追い掛けるメンバー。危険を顧みず、むしろ楽しんで追跡する彼らに、ビルの再婚相手メリッサと同じ様に「え、この人達頭おかしい…」と観衆は誰もが思う筈。

しかし、中盤から彼らの目が変わる。
遊びじゃない。人命を救う為に、自分達が竜巻の謎を解明するんだという使命感を帯びてくる。この辺りのドラマ展開が絶妙に上手い。因みに脚本・製作は「ジュラシック・パーク」シリーズのマイケル・クライトン。

制作総指揮にはS・スピルバーグの名前も。

途中、「シャイニング」の名シーンも織り込まれる辺り、やっぱりこの映画は只者ではない。

個人的には大好きな映画。今観たらへちょく見える視覚効果だって、想像力で補完すれば、竜巻の驚異的な恐ろしさがしっかり伝わってくる。

それにしてもビル・パクストンもフィリップ・シーモア・ホフマンも、もういないなんて寂しいし、この映画が少しノスタルジーを帯びている事も寂しい。

ラストシーンが何処と無く「スピード」を彷彿させるのは、同じ監督だからかな。

僕の青春時代に強烈な爪痕を残した竜巻。
それは、今観てもやっぱり最高だった。