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バンコクナイツのMinCのレビュー・感想・評価

バンコクナイツ(2016年製作の映画)
5.0
娼婦・楽園・植民地 をテーマに撮られた、ロードムービーであり男と女を取り巻く群像劇でありドキュメンタリーであり、さらに言ってしまえばプロパガンダ・フィルムであり、空族の人生そのものでありこれまで撮って来た作品の集大成のようでもあり、
途方もなく途轍もない、まさにネクスト・レヴェルな作品。
そこに込められた全てを、とても初見では把握しきれないしまた見ると思う。

Bangkok,shit!
『地獄の黙示録』ウィラード大尉の台詞のパロディな冒頭に始まり、メコン川を北上するようにバンコクからイサーン〜ラオス・ジャール平原の多数のクレーターときてベトナム戦争に接続。さらにラオス秘密戦争ですと?いや参りました。
ラオスで田ちゃんに会えるのはなんか嬉しかったな。 togenkyo,you know?

ODAとかNGOとかよくわからないけど開発途上国(という呼び方自体も資本主義の奢りだけど)への上から目線の金のばら撒きはもういいよと。対等に、同じ人として繋がろうよと。でもそれはユートピア=桃源郷という幻想でしかないのかもしれないが…
そういった意味でもアメリカ目線で製作された凄まじい作品『地獄の黙示録』へのアジアからのアンサーだ‼︎というコピーには、まさしくアジア目線による緩やかに凄まじいアンサーだ…と唸らざるを得ない。

恵比寿映像祭にて上映された、YCAM製作マルチスクリーン映像作品「潜行一千里」によっても補完されたし、昨年のタイ/イサーン爆音にて『東北タイの子』『タクシー・ドライバー』(スコセッシじゃない方)を見たしboidマガジンも購読して、多少は予習したと思っていたけど…膨大なフッテージからさらにドキュメンタリーも製作されるそうで、空族の活動はとても映画という範疇に収まるものじゃないのかもしれない。

脳内が。タイ/イサーン〜ラオス、金正男がマレーシアで暗殺⁇いや影武者⁈のニュースとあいまってすっかり東南アジア方面にイってしまい、、

なかでも脳内を侵食しているのがモーラムという″語り″芸、ケーンという雅楽でいう笙の源流となった楽器の音が通奏低音のように響き、そこから世界の民族楽器に思いを馳せ出したら止まらないのです。

しかしひとつ個人的に勝手に接続したのが、オザワがぶたれるシーン、唐突な気がしてなんか引っかかるけど、アケルマンのジャンヌ=ディエルマンのアレっぽいな…ってことだったりもするんだよなぁ。

面白い❗️とにかく凄い。
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