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この広い空のどこかにのMinCのレビュー・感想・評価

この広い空のどこかに(1954年製作の映画)
4.0
アドバルーン大のシアワセのかめはめ波、当たったみたい。

佐田啓二(安定の2枚目)が、決して家長として偉ぶったりなんかしなくて、懐深く家族想いで働き者な若旦那でいい。嫁と姑小姑の板挟みになりながらも、ちゃんと嫁を守る。気晴らしに一緒にバイクに乗って買い物したり、嫁の親にお土産持たせたり、気持ちをちゃんとカタチにして伝えてる。子供が病気で困っている人には、ちょっと躊躇しながらもなけなしのヘソクリ渡す。困ったときはお互い様。こういう「大人」な人を見ると安心するなぁ。
菅田将暉くん似の弟くんは末っ子やんちゃ感ありつつ友達想いだし(湖を眺めてのふたりの会話が何とも清々しい)、
色々あってやさぐれ気味だった姉・高峰秀子デコさまの琴→大胆な行動!に拍手だし嬉しいし、
ひとつ屋根の下暮らすとお互い何や彼やと小さな不満はあっても、思いやり、労わりの心が紡がれていくひとつの家族を描く良作。

お酒や味噌醤油塩など量り売りする店先の風景が新鮮。一升瓶に漏斗のせて、樽からダイレクトに注ぐのね!器持参で量り売り、とてもいいねぇ。お豆腐だってむかしは器持参で、豆腐売りがいたらしいし。でも、いっつも嫁の愚痴なご近所さんの「つけといて」掛売りシステムはあやうい。(わたしの親戚に、そのむかし掛売りが嵩んでお店を潰してしまったというひとがいる…)
店先でおじさん達が呑んじゃってたり、おまけしてもらったり、近所に嫁いできたお嫁さん御一行様が挨拶に来たり。

温故知新。
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