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グッバイ・シングルのtanakaのレビュー・感想・評価

グッバイ・シングル(2016年製作の映画)
3.5
正直、主人公には終始感情移入が出来ませんでしたが、クライマックスのセリフには社会への問題提起が込められており、その力強さに好感が持てました。未成年のシングルマザーに白い目を向けるのは、日本も韓国も同様と思われますが、女ばかりが槍玉に挙げられる事に力強く抗議しています。

近年日本でも多発している、シングルマザーによる育児放棄、乳幼児遺棄事件に対しても、この映画が提起した視点は当てはまるなあと思いました。父親は一体誰で、充分な養育費は支払われていたのか等、母親だけにではなく父親にも責任を問うべきではなかろうかと思わされます。劇中に登場する無責任な父親達も、こうした現実を象徴してるのでしょう。エンタメの中にも弱い立場の視点を持たせる点が、実に韓国映画らしくて良いと思います。

一方、主人公が終盤まで身勝手な所はマイナスな点。周りが振り回されるのは観ていて辛く、主人公にはイライラさせられます。そんな中において、マ・ドンソク演じるスタイリストは人間味あふれる良いキャラクター。彼のお陰で優しい目線で観続けられたと思います。
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